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Sep 9, 2019

飯田にて

歌舞伎の巡業を半月後にひかえる信州・飯田に、公演のみどころトークのために訪れた。その旅に携えた一冊がこれ。残留孤児の養父母の健在者が、いよいよ残り少なくなっていて、その証言をネットに残して後世に伝えるとりくみが、中国の黒竜江省で始まったことも、飯田で読んだ地元の朝刊で知る

信州からの満州や蒙古への移住が日本のなかでも他を圧して盛んだったのは、それだけ暮らしの苦しい人々がこの地には当時多かったことの証しに他ならない。にもかかわらず、、という表現が妥当かどうかはわからないけど、、芝居、浄瑠璃、祭りなど、民間・庶民の娯楽の多彩さ、深さ、レベルの高さも、ものすごいものがある。

それらの楽しみごとには、お金も手間ひまもとてもかかることはみんなわかってたはず。それでもなお、日々の生活の苛烈さに耐えながらも熱心に受け継がれてきた郷土の芸能、祭事、、、こういう側面に、これからも、飯田をはじめとするご当地とのお付き合いの中で、丁寧に関心を持ち続けたいなぁ、と思う。

歌舞伎を通じて・歌舞伎を経て、もっとその先にも、知りたいことや学びたいこと、考えたいことが、自分にはあるのだなぁ、ということが、最近、ひしひしと、わかってきた。自分はこの先、どこへ向かおうとしているのか。その宛土のなさも、また、佳しである。