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Feb 22, 2021

名作

眠れぬ夜のつれづれに、DVDで、「七人の侍」を、また見てしまった。もう回数を数えるのをあきらめて、ずいぶんになる。

馬を駆りたて村を襲おうとする野武士たちの会話で物語は始まる。

「やるか?(襲うか?)この村も」
「いや、ここはこないだやったばかりだ。いま襲っても、ろくな収穫はあるまい」
「実ったころに、また来るべぇ」

駆け去っていく馬上の野武士たちを、もの影からびくびく見ている、その村の百姓。慌てて村へ駆け帰り、この旨を村人たちに伝えたのだろう、次の場面は、地べたにへたりこみ絶望の泣き声をあげる村人たちの姿へと切り替わる。

この、村人たちの嗚咽にかぶさって、ウグイスの高く澄んだ鳴き声が聞こえる。つまり、季節は春である。ということは、実りの秋までの半年間は、野武士たちの襲撃は、まず、ないわけだ。半年間の猶予を与えられたこの集落が、さて、どうやって次の野武士の襲来に備えて策を練るのか、、、

全体の物語の「お膳立て」が、ものの数分で、しかも春と秋という二つの季節をファクターとして、完璧になされている。そのことに、今回、初めて気がついた。出だしの物語の方向性の提示がここまではっきりされているからこそ、3時間を超える長尺を、まったく退屈せず、いやそれどころか、最後の最後まで、わくわく、はらはら、どきどきしっぱなしで見ていくことが出来るのだと思う。

何回見ても新鮮で、見るたびに新しい発見がある。名作が名作であるゆえんは、この一点に尽きる。「七人の侍」は、まさに、そういう映画だと再認識した。

さぁ、また次は、いつ見ようか。見終わったとたんに次回が待ち遠しい。