okken.jp
Oct 11, 2021

着こなし

名古屋にいる時によく伺うワインバーの、若い男性スタッフが、御園座に、人生初めての歌舞伎を見に来てくれた。二階の比較的手頃な席での観劇だったが、シックなポケットチーフをしのばせたジャケット姿で、磨きこまれた革靴。初歌舞伎に臨む嬉しさ、気合い、いい意味での緊張感が、手に取るようにわかる。そういう彼の姿を見て、ぼくも何だか、とても嬉しい気持ちがした。ほどよくおしゃれを楽しまれてるお客様が飲みに来てくださると、お店のわれわれもやっぱり気持ちいいですから、それと同じ気持ちできょうは来ました、とにこやかに彼は言う。堅苦しいドレスコードやマナーの手引きよりも、自分の経験や感覚を活かした、こういう自然な気遣いが、劇場という場所には、はるかに似つかわしい、と思った。