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Nov 1, 2021

ショパンコンクール雑感

世界で最も知名度もステイタスも高いピアノコンクール、と言えばショパンコンクール。コロナの影響で1年の休止をはさんで、今年も開催されました。

自分の卒業した中学・高校の若き同窓生が素敵な成果を聞かせて&見せてくれたことも含めて、何人もの日本のピアニストが、素晴らしい音楽をつむぎ出してくださった、まことに印象に残る今回の大会でした。

若手の格別の登竜門というかつてのコンクールの意味合いは薄くなり、すでに多彩な活躍を示している(いい意味での)腕自慢たちの、祝祭空間、ピアノフェス、という面が、大きくなっている点が、すごく面白かった。

ユーチューブ、ウェブ配信、という新たなアウトプット機能が、最大限に活用されてました。出場者のなかに、人気ユーチューバーもいたくらいですから。

クラシック音楽の世界の既存の「権威」を、軽やかに揺さぶりながら、いまを生きるピアニストたちが自分自身のパフォーマンスを明るく楽しく、かつ厳しく磨きあげていく、、、その中に、配信で獲得した世界中の応援のエネルギーを、自然にブレンドしていく。

ピアノコンクールは、もはや、閉ざされた孤高の競い場ではなくなったんだ、と思います。エントリーするみんなが仲間で、それを世界各地で見守る我々も仲間で、そういうつながりの中でこそ、よりハイスペックな演奏が生まれる。新しいステージに入ったんだなぁと思います。こないだのオリンピックのスケボーの選手たちを思い出しました。感覚が似てるなぁ、と。

ファイルステージ上位8名に弾かれたピアノは、最優秀奏者も選んだイタリアのファツオリが3台。アメリカのスタインウェイも3台。そして日本のカワイが2台。かつてのスタインウェイぶっちぎりの牙城ではなくなってきているんですね。

ファツオリは誕生してまだ50年にも満たない新しいメーカーです。ただし、メーカーとしての歴史は若くても、少ない台数をこれでもかというくらいの技術とこだわりをこめながら生産する、イタリアの「工房・職人文化」そのもののピアノ。新しさと伝統の融合が、こんなところにも、見事な花を咲かせたんだなぁ、と感じます。