お姫さまとプロレスと

坂東玉三郎さんの八重垣姫、久しぶりに拝見しました。名古屋御園座。

歌舞伎に出てくるお姫さまのなかでも格別の大役といわれる八重垣姫。上杉謙信(芝居での名前は長尾謙信)の娘ですが、敵方の武田勝頼の娘という設定で、ふたりはこの芝居においては、許嫁同士です。

姫が最初に身にまとっているのは、鮮やかな赤い振袖。かたや腰元の濡衣(ぬれぎぬ)という、姫のお世話をする女性は、落ち着いた大人の趣きの、黒い着物姿です。

赤と黒、、、くしくもこの日、プロレスのアントニオ猪木さんの訃報があったのですが、新日本プロレスでの彼のトランクスも黒。かたや全日本のジャイアント馬場は、赤のトランクスでした。

昭和40年生まれのテレビ小僧が、あのころ夢中になって見ていた、おふたりの戦いっぷり、、、華麗なお姫さまの歌舞伎と、身も心もたけりたかぶるプロレス。不思議な取り合わせ感にしばし浸りながらの観劇となりました。