ジャズのレコード
いまは自宅にレコードプレーヤーがないので、手持ちのLPも長いこと聞けずじまい。
時々、ジャケットを眺めては、歌舞伎より前、ジャズに夢中だったころに、気持ちをタイムトリップさせます。
ロリンズ、ブレイキー、カーメン・マクレイ、ベニー・カーター、、、ジャズメンは、おしなべて、能筆だなぁ。平均的なアメリカ人に比べて、と言ってはわるいけど、流麗で美しい字のサインが多いと思う。ロリンズは、ハリウッドのディスコでのノリノリのライブのあとの楽屋で、シャワーから出てきたてのバスタオル腰巻き姿で、気さくにペンを走らせてくれた、、、勝手にこっそり楽屋に押し掛けちゃったんだ、、ごめんなさい(時効)、優しい人だよなぁ。
ビル・エヴァンスの2枚の白い紙ジャケットは、いわゆる海賊版だけど、今やこの手のアルバムもCD化がすすんでいて、音質だけ問えばそちらのほうが格段にクリアです。でもクリアすぎて、海賊版聞くときの「盗み聞き」気分がわかないのは、贅沢な悩みなんだろうなぁ。たしかこの2枚は、秋葉原の中古レコード売り場でみつけたんだと思う。
毎日何時間もジャズ喫茶にこもり、アパートではヘッドホンでレコード聞いて夜明かしして、、、暗い学生生活を送りました。
そういう「じとっとしたテンション」が、歌舞伎に興味のピークが移ったあとも、ずっと変わらなかった。だから、ぼくの歌舞伎を感じとるときのバロメーター、物差しも、どちらかといえば陰気で暗い指向性を帯びたままです。
自分が本当に、いちばん好きな類いの歌舞伎と、一般的に沢山の方に好まれる歌舞伎との、ずれというか、食い違いに、とまどったり困惑したり、、、そんなケースも少なくはないのですが、それはそれ、仕事は仕事と受け入れ受け止め、自分が果たすべきことを、日々、続けてきたし、これからもそうしていくのでしょう。そんなときに、ジャズが今も、心に寄り添ってくれている気がします。