Feb 13, 2020
ノムさん
NHKの「ビッグショー」だったかなぁ、野村克也さんがゲストの回があった。
苦労なさった少年時代、新聞配達で家計を助けた思い出話のコーナーで、ぶ厚い束になって平積みされた新聞がワゴンに乗って出てきた。
さあ野村さん、当時を振り返って、何部あるか数えていただけますか?、とアナウンサーがうながす。
昔取った杵柄ってやつですか、へへ、、と照れ笑いのノムさん、束の側面に両手を添えて、静かに指先を「いざらす」こと数秒。
35部とちがいますか?
(数字が間違ってたらごめんなさい、記憶不確かにつき)
お見事です!のアナウンサーの返答と同時に、収録のホールが万雷の拍手であふれた。
相変わらず照れ笑いを保ったノムさんは、客席に軽く会釈した。
たぶんこれは、評論家時代、もっといえば浪人時代の番組だったんじゃないかなぁ。かっこよかったし、深みを感じました。新聞の束を懐かしそうに見つめるノムさんをアップでとらえた画面も、よかった。とかくありがちな、とうとうと述べたてられた苦労話なんかとは、次元がちがっていた。苦しかったことも今は大切な思い出になり、糧になっている人の温かみがあった。