okken.jp
Sep 28, 2020

生きた小道具

先週訪問した、岐阜県の地芝居・気良歌舞伎の、芝居小屋に隣接していたのが、明宝歴史資料館。
http://www.gujomeiho.jp/sp/sightseeing3_1.html

芝居小屋が廃校の旧講堂ならば、こちらは旧校舎の再活用で、いずれも木目のぬくもりがなんとも心地よく、やさしい。

農具や生活用具など、かつてのわれわれ日本人の、日々の生活と共にあった、さまざまな品が、所狭しと並ぶ。主を喪った民具たちよ、と会場のかたすみに墨字で記された表示に、はっとさせられる。

話好きで博識なスタッフのおじさんが、道具にまつわるさまざまな説明をしてくれる。質問にも何でも答えてくれて、そのやりとりのなかで、こういうの歌舞伎でも使ったら、見栄えもよくないかな?楽しくならんかな?と、にこやかに何度となくすすめてくれた。

それを聞きながらふと思った。おそらく、日本のあちこちで、こういう現役を終えた生活用具の展示がなされているはずだ。旅行先でもそんな施設をよく見かける。ならばそれらの道具を、最寄り各地の地芝居で、小道具に用いる、という手も、たしかにあるのではないか? そもそも道具は、見物・見学されるために作られてはいない。使われてなんぼ。壊れてしまっても、それはそれ、その道具が役目を終えて天寿をまっとうした、と解釈すればいいのだし。修繕を加えてさらに使い続けてもいいし。

古くからの生活用具を、地芝居のなかで「動体保存」する。。。これからじっくりと考察したい、探ってためしてみたい、新たなポテンシャルである。