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Jul 4, 2022

ネコ

そぼふる雨のなか、実家から地下鉄駅までの道すがら、クルマにひかれてしまったネコちゃんの亡骸が目にとまる。

ああ、かわいそうになぁ、と手を合わせていたら、ちょうど警察のクルマ(パトカーではなかった)が到着し、丁寧に亡骸をトランクにおさめて、再び走っていった。なんだか、救われた気持ちがした。

ああいう気の毒な亡骸を、かつては、そういえばもっとしょっちゅう、まちなかで見かけたよなぁ、と、痛ましい気持ちと懐かしい気持ちが、不思議な混じりかたをするうちに、地下鉄の駅に着いた。

自分は今まで生きてきたなかで、こういう可哀想なネコを、何匹くらい目にしてきたのかな。

彼らは天に召されながら、命のはかなさや尊さや、ヒトと動物が同じコミュニティのなかに生きることの難しさや厳しさを、自分たちの亡骸を以て、如実な明白な姿形で、示してくれたり突き付けてくれたり、してきたんだなぁ、としみじみ思う。一匹の例外もなしに、だ。これは、すごいことです。

一寸の虫に、、、じゃないが、一匹の亡骸にも五分の魂。きょうのネコちゃんも、どうか、せめて、安らかに眠ってくれますように。