Feb 3, 2018
磯異人館
2月の博多座で上演される「磯異人館」の舞台、鹿児島の海岸に臨む磯地区の異人館を訪ねました。2階からの桜島の眺めが素晴らしい。ここの海岸、地元を代表する海水浴スポットでもあります。
薩摩・島津藩の海辺の別邸ならびに庭園「仙厳園」にほど近く、この地区に幕末に島津藩が開いた、近代工業政策のプロジェクト施設「集成館」に隣接しています。異人館はこのプロジェクト指導のために、当時の薩摩に招かれて滞在したイギリス人技術者たちの住まいでした。
陶器、ガラス細工、紡績など、さまざまな製品を、海外のノウハウを大いに取り入れつつも、自前・独学の研究成果もフルに発揮して、壮大なスケールの産業改革をすすめた島津藩。その先見性とロマンが、深く印象に残りました。庭園も、桜島と海、背後の岩壁をダイナミックに借景に生かした、日本的な「ちんまり」した美意識とは明らかに異質の、大胆な造園センスを感じさせるものでした。石組のたくましさはまるで黒澤明監督の映像世界を、じっさいに目の当たりにするような興奮に満ちていました。
この現地を見て知っているのといないのとでは、「磯異人館」という芝居の感想、というか真に迫る度合いは、天と地の開きがあるかもしれません。ぜひいつか皆さまも、じっさいに訪ねてみることを、おすすめします。新幹線の終着&始発駅である「鹿児島中央駅」からの、観光巡回バスのアクセスも、とても便利です。