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Nov 30, 2019

美しく老いる

「老人の美学」(新潮新書)を出された筒井康隆さんが、ご自身の理想の老人像を新聞のインタビューで問われて、歌舞伎役者は良い年のとりかたをしている人が多い、と答えている。なにより所作が美しいし、いかに自分(の芝居)が美しく見えるかというふだんの研究が、体に染み付いている。ああなりたい、と述べていらっしゃる。

嬉しく拝読した一方で、それは、一つには、演目次第でもあるなぁと感じた。次々に生み出される「新作歌舞伎」のなかで、それを演じることの蓄積が、美しい年輪となってその演者に染み込んでいくような作品は、どれくらいあるだろうか。

新作をこれからは、そういう視点で見ていくのも、楽しいかもしれない。