okken.jp
Nov 9, 2020

書体は「密」だけど。。。

年の瀬の恒例行事でもある、京都・南座の顔見世歌舞伎。劇場正面をかざるおなじみの「まねき看板」を書いていく作業が、ことしも始まった。

かんてい流という独特の書体で、出演する歌舞伎役者の名前が記される。はね、はらい、といった書き納めの部位で、筆を必ずもとに戻すように書くのは、お客を招く・招き入れるという縁起かつぎを運筆にこめいてるからだ。

そして、一筆一筆の間隔やすき間がなるべくないように、ぎっちりと書く。これも空席がありませんようにという思いを託しているわけ。

つまり、字体自体が究極の「密」になっていて、コロナの状況に反旗をひるがえしてるなぁこれ。。。なので、ことしに限っては字体にもソーシャルディスタンスを取り入れます、というのは真っ赤なウソですが(笑)、歌舞伎座の今月などを見ていても、コロナの状況を笑い飛ばすとうなアドリブ的なせりふも舞台で飛び交い始めている。芝居ならではの明るさやユーモアで、閉塞しがちな世の中に少しでも、風通しのよい状況を創り出していってほしいなぁと思う。それも歌舞伎の、芝居の、大きな立派な役割だろう。

●顔見世まねき書き